研究概要 |
安全性・疾病予防性を持つ高品質畜産食品(食肉・卵)の効率生産システムの開発を目標として、低脂肪食肉・卵生産システムの開発研究の一貫として、申請者がはじめて発見した新規リポプロテインレセプターであるLRP380に着目して、その同定・機能解析・発現制御を試みた。 (1)LRP380のリガンドの検索 前年度に確立した精製法により精製したLRP380を用いて,そのリガンドを検索した。LRP380は,鶏VLDL,LDLのリポタンパク質,ビタミンAやDの結合タンパク質,RAPやapoJなどのレセプター関連タンパク質に結合した。さらに,約200kDaの巨大タンパク質と非常に強い結合性を示した。LRP380はヒトmegalinのホモログであるため,この分子はgp280(Cubilin)である可能性が示唆された。gp280は,近年マルチリガンドレセプターとして認識されており,特に腎臓尿細管における物質取り込みを制御していることが明らかとなっている。すなわち,鶏卵巣において,LRP380がCubilinと共同で,卵黄に機能性物質を取り込む役割を果たしているものと推察された。 (2)LRP380の局在性 鶏の前駆脂肪細胞および成熟した脂肪細胞のいずれにもLRP380は発現しており,細胞膜に局在していた。しかし,いずれの細胞にも検出されることから,脂肪蓄積との関与は明らかとはならなかった。 (3)LRP380の生体内における分子生物学的機能解析 in vivoトランスフェクションのためのコンストラクト作製を試みたが,全長が約15kbpと大きいため,ライゲーション効率が低く,現時点では成功していない。また,プロモーター解析のための5領域のクローニングに成功し,現在,機能解析を進めている。
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