研究概要 |
ZPCは鳥類の卵黄膜を構成するタンパクのひとつで,輔乳類の透明帯のZPCと相同なタンパクである。家禽の卵黄膜の繊維形成機構と生理機能をあきらかにするために,ZPCの不溶化機構を調べ,以下の結果を得た。 卵黄膜を[^3H]標識ZPCとインキュベートしたところ,不溶性画分に放射活性が検出され,さらに,この不溶性画分を泳動し,オートラジオグラフィーで検出したところZPCのバンドが検出された。つまりZPCは卵黄膜と接触すると,不溶性に変化し,卵黄膜に取り込まれることを見い出した。 2.卵黄膜の可溶化物を転写膜に固定化し,[^3H]標識ZPCを用いたリガンドブロット法で検出したところ,内層のもうひとつの構成タンパクであるZP1と特異的に結合することを発見した。また,[^3H]標識ZPCと卵黄膜の可溶化物をインキュベートし,抗ZPC抗体を用いた免疫沈降法を行なったところ,抗ZPC抗体によりZP1がZPCと共沈することがわかった。以上の結果からZPCは卵黄膜のZP1との結合を介して内層に取り込まれ,不溶化することが判明した。 3.ZP1の発現組織を同定するために,特異的プライマーを設計しRT-PCR法でスクリーニングしたところ,ZP1は肝臓で発現していることを発見した。ついで,遺伝子の塩基配列を決定し,特異的抗体を作成し,これらをプローブとして生合成機構を調べたところZP1は女性ホルモンによって合成を刺激されることを発見した。 4.ZPCとZP1との結合特性を調べる実験を行なったところ,この結合は,イオン強度,pHによる影響を大きく受けることを見い出した。つまり,両タンパクはイオン結合により特異的に結合することが判明した。
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