研究課題/領域番号 |
14760189
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
志水 泰武 岐阜大学, 農学部, 助教授 (40243802)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 味覚 / エネルギー代謝 / 褐色脂肪 / 肥満 / 糖尿病 / フルクトース / インスリン |
研究概要 |
本研究は、味覚情報とエネルギーバランスの維持機構の連関を明確にすることを目的とした。行動学的検討から、ラットはグルコースとフルクトースの味を区別できることが判明した。次に、ラットにグルコース溶液あるいはフルクトース溶液を与え、2-3ヶ月間飼育し実験を行った。血中糖負荷試験を行ったところ、フルクトース群で耐糖能異常が発生することがわかった。このときインスリン分泌能は維持されていたので、耐糖能異常は骨格筋を始めとするインスリン応答性臓器におけるインスリン抵抗性に起因すると思われた。実際に、インスリン抵抗性を評価するために行ったSteady-state plasma glucose(SSPG)法において、フルクトース群は有意に高い値を示した。骨格筋、褐色脂肪組織においては、インスリン作用発現に必須な糖輸送担体(GLUT4)およびエネルギー消費に関わる脱共役タンパク質(UCP)の発現が、グルコース群で適応性に上昇するものの、フルクトース群では変化がなかった。さらにカテコラミン刺激時の褐色脂肪組織温度上昇はフルクトース群で減弱していた。これら二つの糖のカロリーが同等であることを考えると、上記のような変化は味覚情報の違いに起因することが予想されたので、舌表面にこれらの溶液を滴下した後、褐色脂肪を支配する交感神経の活動を記録した。その結果、グルコースを刺激とした場合は、顕著な活動亢進を誘発することが見いだされ、味覚神経を介したエネルギーバランスの維持機構が存在することが明らかとなった。一方、フルクトースの場合は交感神経の活動亢進は顕著でなく、このことが代謝異常と連動する可能性が示唆された。つまり、哺乳動物には味覚情報を基に過剰なエネルギーを効率的に熱として解消するシステムが存在し、それが効率的に働かない場合は糖尿病や肥満となることが明らかとなった。
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