研究概要 |
転写因子MITFの突然変異マウスは10種類以上が知られている。このうち,他の転写因子の活性を阻害する作用が示されている異常なMITF (mi-MITF)を発現するmi/miマウスの解析が最も進んでいる。このマウスの表現型として,NK細胞の機能不全が知られる。一方、MITFの発現が検出限界以下になっているtg/tgマウスではNK細胞の活性は正常である。今回,mi-MITFと同様に他の転写因子の活性を阻害する異常なMITFを発現しているMi^<or>/Mi^<or>マウス、およびnull突然変異であることが示されているmi^<ce>/mi^<ce>マウス・mi^<ew>/mi^<ew>マウスについて、NK活性を検討した。その結果、Mi^<or>/Mi^<or>マウスではmi/miマウス同様にNK活性が低下しており、mi^<ce>/mi^<ce>マウス・mi^<ew>/mi^<ew>マウスではtg/tgマウス同様にNK活性が正常であることが示された。また、NK活性が低下していたmi/miマウス・Mi^<or>/Mi^<or>マウスのNK細胞ではperforin遺伝子の転写が阻害されていたが、NK活性が正常なtg/tgマウス・mi^<ce>/mi^<ce>マウス・mi^<ew>/mi^<ew>マウスではその発現は正常であった。このことより、mi-MITFのNK細胞に対する効果は、他の転写因子のperforin遺伝子の転写活性に対する阻害効果であると考えられた。これらはすべてC57BL/6系統のマウスを用いて調べられた。WB系統のmi/miマウスでは,C57BL/6系統のmi/miマウスより表現型の異常が軽度であることが知られている。WB系統のmi/miマウスのNK活性およびNK細胞でのperforinの発現を検討したところ,NK活性の低下・perforin遺伝子の発現低下は見られず,mi-MITFのNK細胞に対する効果は、マウスの系統に依存すると考えられた。
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