研究課題/領域番号 |
14770131
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
亀岡 正典 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60281838)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ヒト免疫不全ウイルス / HIV / AIDS / ポリADP-リボース合成酵素 / PARP / siRNA / ポリADPリボース合成酵素 / Histone Acetyltransferase / Tat |
研究概要 |
前年度まで、PARP-1ノックアウトマウス由来のPARP-1-/-細胞を用いた解析を行い、マウス細胞に一過性に感染させることが可能な、遺伝子組み換え型ルシフェラーゼレポーターHIV-1(pNL-Luc)の感染効率が、PARP-1-/-細胞では対照細胞に比べて著明に低下していることがわかった。また、PARP-1-/-細胞ではHIV-1のプロモーターが活性化しにくいことがわかった。更に、PARP-/-細胞において、Histone acetyltransferase(HAT)、p300/CBPおよびP/CAFの発現が、遺伝子発現レベルで低下していることを示唆する解析結果を得た。HATはHIV-1遺伝子発現の活性化に重要な役割を担う因子であることから、HATの発現量が低下している現象は、PARP-1の欠損によりHIV遺伝子発現の程度が低下する要因の一つと考えられる。これらの解析結果は、HIV-1の複製制御機構、特にRNA転写機構にPARP-1が関与していることを示唆している。一方、HIV-1の自然宿主はヒト細胞であり、マウス細胞におけるHIV-1の増殖は、ウイルス生活環の複数の過程で制約を受けている。すなわち、マウス細胞だけを用いた実験系では、HIV-1増殖に最適な条件下での解析が不可能である。 今年度、ヒト細胞でのHIV-1増殖におけるPARP-1の役割を解析する為に、ヒトPARP-1の発現を特異的に抑制するsmall interfering RNA(siRNA)を作製した。作製したsiRNAをヒト培養細胞、HeLaおよびJ111細胞に一過性導入すると、PARP-1の発現は著明に低下した。そして、PARP-1の発現が低下した状態の細胞に上記のpNL-Lucを感染させると、その感染効率は低下していた。また、PARP-1 siRNAのMAG工C5A細胞への導入は、染色体組み込み型HIV-1プロモーターのTNF-α依存的な活性化の程度を低下させた。これらの解析結果は、ヒト細胞においても、PARP-1が効率の良いHIV-1遺伝子発現に必要であること、PARP-1が抗HIV-1薬剤の開発において、その標的因子と成りうることを示唆している
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