研究概要 |
研究の目的 近年、磁場(定常磁場と変動磁場)を発生する機器(MRI、携帯電話、一般の家庭電気製品など)の開発に伴い、職場や日常生活環境において磁場に曝露される機会が増えてきている。一方、電磁場曝露により脳腫瘍、白血病、悪性黒色腫の発症率が増加するという疫学調査結果が報告されているが、未だにその真偽は明かにされていない。 本申請者は、電磁場曝露が脳腫瘍発生に与える影響について、新生仔ラットアストロサイトを用いたin vivo小核試験にて染色体異常誘発性を評価した。 研究実績 方法 3日齢のSD系雄性ラットにcisplatinを1回腹腔内投与後、周波数50Hzでの電磁場曝露のtime studyと曝露強度のdose-response studyを行った。電磁場曝露終了後、全脳を摘出し、トリプシン、DNaseにて処理後、5%FBS加MEM培養液中にて96時間培養した。標本作製方法は,細胞を固定後,抗glial fibrillary acid protein(GFAP)抗体とacridine orangeの二重染色を施行し,アストロサイトの同定と小核の確認を同時に行った。標本観察には蛍光顕微鏡を用いて,小核を有するアストロサイトの頻度を‰で表した。 結果及び考察 電磁場曝露単独では有意な小核頻度の増加は認められなかった。電磁場とcisplatinの複合曝露でのtime studyでは、72時間曝露で小核頻度が最も高かった。72時間複合曝露宅の電磁場強度のdose-response studyでは、7.5mTでは擬似曝露群と比較して2.0倍、10mTでは1.9倍の有意な小核頻度の増加を示した。 今後は電磁場曝露条件(周波数、曝露時間存ど)、種々の変異原物質との複合曝露について検討していく予定である。
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