研究概要 |
【目的】関節リウマチ(RA)の遺伝要因において、HLA領域以外の疾患関連遺伝子の存在が注目される。遺伝子解析の多くは、疾患感受性遺伝子の解明を目的として連鎖解析や関連研究などが行われてきた。今後RAのテーラーメイド医療においては、疾患重症化遺伝子が重要と思われる。Receptor activator of nuclear factor κB (RANK), RANK Ligand (RANKL), Osteoprotegerin (OPG), Interleukin 17 (IL-17)は、RAにおける関節破壊の進行との関与が認められている。RANK遺伝子領域(18q21)は、RA発症および重症化とOPG遺伝子領域の8q24は、BMD (Bone Mineral Density)と有意な連鎖が報告されている。RANK/RANKL/OPG/IL-17遺伝子多型が、RAにおける関節破壊の進行に関連すると仮定し検討した。【対象】2年聞のX線像上での進行度をDamage Score (0-49)として判定した当センター通院中のRA患者72例(女59例,男13例)を対象とした。【方法】患者DNAを用い、JSNP (http://snp.ims.u-tokyo.ac.jp)にて公開されている4遺伝子13箇所の遺伝子多型部位(RANK 3ヵ所,RANKL 5ヵ所,OPG 2ヵ所,IL-17 3ヵ所)を、ダイレクトシークエンス法で決定した。遺伝子多型結果とDamage Scoreとの関連性を統計的に解析した。【結果】Damage Scoreと有意な関連(P<0.05)を示す遺伝子型部位は認められなかった。IL-17遺伝子多型部位においてA/A患者が、A/T患者、T/T患者よりもDamage Scoreが高い傾向があった(P=0.1)。【結論】RANK,RANKL,OPG,IL-17遺伝子多型とRAにおける関節破壊の進行との関連を初めて検討した。IL-17遺伝子多型が関節破壊の進行と関連する可能性が示唆され、今後、他のIL-17遺伝子多型部位の検討、多数症例での解析、疾患感受性との検討が有用と考えられた。
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