研究課題/領域番号 |
14770252
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
小川 美穂 東京女子医大, 医学部, 助手 (20297534)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | B型肝炎ウイルス / 細胞障害性T細胞 |
研究概要 |
B型慢性肝炎は、C型と異なりしばしば急性増悪を来す。この増悪のONのswitchの一つとして、ウイルスのCTL epitopeに生じるアミノ酸の変化が想定される。これまでに、ペプチドを用いたワクチンは、すでにいくつかのウイルスについて開発され、すでに臨床に用いられたケースもある。これらのペプチドはin vitroでのCTL assayや、HLAとの結合実験などの結果をもとにデザインされたが、患者の生体内で、あるペプチドを標的にするCTLの攻撃が実際の臨床像を規定しているかの検証はなされていない。そこで申請者は、30例のB型慢性患者において、急性増悪の前後で生じるHBVのpreC/C領域のアミノ酸変異とHLA class Iの相関について検討した。B型慢性肝炎の経過観察中急性増悪を起こした30例(男性26例、女性4例、平均45.9±11.4歳)を対象とした。保存血清よりDNAを抽出後、PCRで増幅して、direct sequenceを行った。またTerasaki-NIH Standard法によりHLA class Iのtypingを行った。急性増悪前後でみられた、あるアミノ酸変化が生じる患者について、HLA class I typeを持つ患者と、そのHLAを持たない患者に分けて各々割合を算出し比較した。その結果、急性増悪前から増悪期にかけてのアミノ酸変化では、A26とaa49、Cw3とaa174に有意差が認められた。また増悪期から鎮静化の時期では、A2とaa27、A2とaa174、A11とaa97、A11とaa130、A26とaa59、A26とaa77、B61とaa27、B61とaa121、Cw1とaa26に有意な相関が認められた。上記の結果のうち、A2とaa27だけがこれまでの報告にあるclass Iモチーフのみで、そのほかのアミノ酸変化とHLAの相関については報告されていない。また、有意差のない変化は、それぞれのHLAを持つ患者で多数の領域にみられ、臨床例では、in vitroの実験と異なり、エピトープはかなり分散している可能性がある。したがって、ペプチドワクチンをデザインする場合、それぞれのHLAの患者ごとに、いくつかのペプチドを混合して用いることを考慮する必要があると考えられた。
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