研究概要 |
1、気道上皮細胞を用いたTh1,Th2サイトカインの影響の検討。 気道上皮細胞のcell lineであるBET-1Aを用いて、各種サイトカイン(Th1,Th2サイトカイン)の影響をRT-PCR法、ELISA法を用いることによりケモカインの発現、産生やリンパ球に作用するケモカインであるTARCの気道上皮細胞に対する影響を検討し、IL-4、TNFα、IFN-γ、IL-13などの刺激で産生増強を認めた。さらにDisel exhaust particle (DEP)のIL-8、GH-CSF産生亢進のメカニズムについて検討し、NF-kBの活性の上昇がDEP刺激により起こっていた。さらにDEP抽出物質のベンゼン分画に含まれる物質がDEPの刺激と同様の活性を示し、さらにそのベンゼン分画に含まれる発癌物質のベンゾピレンでも同様の活性が示された。さらにDEPとともにIL-4、TNFα、IFN-γ、IL-13などを様々な条件で添加し検討中である。 2、喘息モデルマウスにおける検討。 6〜8週齢のC57BL/6マウスにOVAを腹腔内投与で感作した後に15〜21日目までOVAを吸入チャレンジすることにより誘発した喘息モデルを使用して、最終吸入後3、6、24、48時間後に屠殺し、競合的RT-PCR法を用いたケモカイン(TARC、HDC)やケモカインレセプター(CCR4,8)のmRNAの発現が6時間以降増加し、24時間後まで持続した。ヘマトキシリン-エオジン染色、免疫染色を用いた各時間における病理学的、免疫学的に検討し、気道上皮・血管内皮を中心に強く染まり、TARC・MDCがOVAにより発現が増強した。CCR4,8も気道上皮・血管内皮を中心に増強していたが、非特異反応が強くより一層の検討が必要である。またDEP曝露チャンバー内でマウスを飼育し組織変化、サイトカインの産生を検討し、肺胞II型上皮の過形成や、肺組織中のIL-4、IL-10のm-RNA発現の上昇を認めている。さらにDEP曝露チャンバー内で飼育したマウスをOVAにて感作・吸入を行うことにより大気汚染物質の気道への影響を検討する実験系を検討中であるが、加齢の問題もあり感作方法・時期などを検討中である。
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