研究課題/領域番号 |
14770272
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
呼吸器内科学
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 康 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (80303650)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
|
キーワード | 気道分泌 / 粘液繊毛輸送能 / 慢性気道炎症性疾患 / プロテアーゼ受容体 / ヌクレオチド受容体 / ディーゼル排出粒子 / ビスフェノールA |
研究概要 |
粘液繊毛輸送能は、(1)イオントランスポート(Na^+吸収、Cl^-分泌)、(2)ムチン分泌、(3)線毛輸送能、により維持されている。これらの機能障害は、慢性気道炎症性疾患(COPD、気管支喘息)の病態の進展に深く関与する。現在まで様々な炎症誘導物質による気道分泌への影響について検討し、以下の結果を得た。 1)プロテアーゼ受容体を介した気道分泌への影響 炎症細胞や気道上皮細胞由来のトリプターゼ・トリプシンによるプロテアーゼ受容体の刺激またはプロテアーゼ受容体刺激ペプチドの刺激は、細胞内Ca^<2+>オシレーションを誘導するとともに、細胞内のCa^<2+>感受性を高め、Ca^<2+>依存性Cl^-輸送を促進する。この刺激は、長期効果としては気道分泌細胞の増殖・分化を促進に関与するが、逆にCl^-輸送能は低下する。すなわち、プロテアーゼ受容体の持続的刺激は粘液繊毛輸送能を低下させ、気道分泌を障害する可能性がある。また、粘液繊毛輸送機能の維持に重要な役割を持つ細胞外ATPの放出量を減少させることも明らかにされた。 2)ヌクレオチド・βアドレナリン受容体を介した気道分泌への影響 ヌクレオチド受容体はおよびβアドレナリン受容体の刺激はCl^-輸送のみならず、重炭酸イオン輸送を刺激する。このことにより気道炎症により酸性化した気道内腔のpHの正常化に関与する。また、気道炎症に伴う気道の酸性化は、気道過敏性を亢進させたり、線毛運動能を低下させ、さらなる炎症を惹起する。この粘液繊毛輸送機能を制御する気道分泌細胞のヌクレオチド受容体の機能は基底膜側の中間型コンダクタンスCa^<2+>依存性K^+チャネルによって制御され(Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.2004)、炎症性サイトカイン(TNF-α、TGF-βなど)を介したスフィンゴ脂質伝達経路の刺激により抑制された。また、ディーゼル排気ガスに含ま詐るフルオランテンという化学物質がβアドレナリン受容体を介した重炭酸イオン輸送を選択的に阻害した(J.Pharmacol.Exp.Ther,2004)。
|