研究概要 |
慢性肺気腫患者158例、健常喫煙者147例、健常非喫煙者127例の血漿中シスタチンC濃度を独自に開発したELISA法で測定した。慢性肺気腫患者の血漿中シスタチンC濃度は、特に重症例において健常喫煙者より有意に上昇していた。 マイクロサンプリングプローブで採取した慢性肺気腫患者17例、健常喫煙者9例の気道被覆液中カテプシンSとシスタチンC濃度をELISA法で測定した。慢性肺気腫患者の末梢気道では、カテプシンSとシスタチンC濃度はどちらも健常喫煙者より高値の傾向にあった。 特発性肺線維症12例および健常者6例に気管支肺胞洗浄を行い、気管支肺胞洗浄液中カテプシンSとシスタチンC濃度をELISA法で測定し、各濃度と臨床パラメーター(胸部CT、肺機能検査、喫煙歴、疾患活動性、重症度)との相関を検討した。 マクロファージや気道上皮細胞からのシスタチンCの発現能を検討するため、MonoMac 6 およびA549を使用し、培養ののち各細胞からの細胞外分泌量を比較した。さらにその発現調節機構を検討するため、炎症性サイトカインであるIL-1,TNF, IFN-γ,IL-4(10ng/ml)とdexamethasone(1μM)で培養細胞をそれぞれ刺激し、24時間細胞培養の後シスタチンC濃度をELISA法で測定し変化を比較した。dexamethasoneによりシスタチンC産生は増加したが、サイトカインに対する反応は細胞型により異なっていた。 シスタチンCプロモーター領域の遺伝子多型が日本人においてどの程度の頻度で存在するかをRFLP法でスクリーニングした新規多型が検出され、変異領域をシークエンスにより同定した。変異の頻度と慢性肺気腫の重症度との関連を検討中である。またカテプシンSとシスタチンCの遺伝子多型とプロモーター活性の関連について解析を行っている。
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