研究概要 |
最近,我々は新たなアミロイド前駆体蛋白(APP)遺伝子変異を日本人家族性アルツハイマー病(FAD)家系において見出した(APP D678N変異,以下本変異).この変異はアミロイドβ蛋白(Aβ)内部にアミノ酸置換を引き起こす(Asn7-Aβ).これまでAβ内部の変異でアルツハイマー病を呈する家系の報告は稀であり,本変異によるAD発症のメカニズムを解析することは,多くの孤発性ADの発症メカニズムの解明や治療法の開発に役立つものと考えられる. 1.トランスジェニックマウス作成に用いるコンストラクトの作成 mouse Thy-1 promoterを入手し,コンストラクトを作成した.mouse Thy-1 promoter正常型APPcDNAを組み込みこんだ後,oligo nucleotide directed mutagenesisを用いてAPP D678Nを導入した.また,Swedish変異(KM670/671NL)のみ,あるいはSwedish変異および本変異を同時に導入したコンストラクトも作成した.しかし,Thy-1 promoterでは,過剰発現系の作成がこんなんであったため,現在,InPro Biotechnology社製のCosSHa.Tet cosmid vectorを用いて,コンストラクトの作成およびトランスジェニックマウス確立を目指している. 3.Asn7-Aβ特異的抗体の作成および特異度の確認 APP D678Nトランスジェニックマウスの脳で発現(あるいは沈着)したAβが,マウスのendogenousなAβではなくAPP D678N変異由来のAsn7-Aβであることを証明するために,Asn7-Aβ特異的抗体の作成が必須であるため,変異Asn7-AβのN末側のペプチド(DAEFRHNSGYEVHHQC)に対するポリクロナール抗体を作成した.この抗体を用いて,合成した正常Aβペプチドと変異Aβペプチドに対してウエスタンブロットを行い,抗体の特異度を確認した.
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