研究概要 |
Y.Groner博士(イスラエル)より供与されたヒト野生型SOD1ゲノムの全長を含むプラスミド(p-GSOD-Svneo)をもとに,site-directed oligonucleotide mutagensisにてexon5に2塩基欠失を導入した変異型SOD1ゲノムを含むプラスミド(pUC-SOD-Del)を得た.同様の方法により,野生型および変異型SOD1蛋白のC末端にFLAGタグ(DYKDDDDK)を付加したプラスミド(pUC-SOD-WT-FLAGおよびpUC-SOD-Del-FLAG)を作成した.それぞれのプラスミドをマウスゲノムに導入して4種類のトランスジェニックマウスを作成した(組み込みは日本SLC株式会社に委託).トランスジェニックマウスは,ヒト野生型SOD1導入マウス(W)13ライン,変異SOD1導入マウス(D)2ライン,FLAG付加野生型SOD1導入マウス(WF)5ラインおよびFLAG付加変異型SOD1導入マウス(DF)8ラインを得た.以上のラインを継代・評価した結果,DFマウスの2ラインで筋萎縮性側索硬化症(ALS)様のフェノタイプの出現を認めた.ALS様の運動障害を呈さなかったDマウスの2ラインにおいては,現在ホモ接合体マウスを作成中である.ALS様症状を呈したDFマウスにおいては,脊髄前角細胞の脱落とグリオーシスを認め,病理学的にも本マウスの呈した運動障害が前角細胞の変性・脱落によることが示された.また本マウスでは残存前角細胞体内に,ヒトFALSでみられるLewy body-like hyaline inclusion(LBHI)に類似した硝子様封入体が認められ,この封入体には変異型SOD1が構成成分として含まれていることを免疫組織化学的に証明した.
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