研究概要 |
今年度は成熟SDラットを用いた一側中大脳動脈閉塞モデルにおいて、IL-6 cytokine familyの受容体であるgp130ならびにLIFRの局在について検討を行なった。これらサイトカインの起源である神経細胞を中心としてgp130ならびにLIFRが発現していたが、グリア系の細胞(アストロサイト、ミクログリア、オリゴデンドロサイト)にはいずれも発現していなかった。したがってグリア系の細胞はIL-6 cytokine familyの起源の可能性はあるものの、標的細胞の可能性は低いものと推測された(Suzuki et al. Distribution of IL-6 cytokine family common receptor, gp130, after cerebral ischemia in rats、投稿中)。今後、再灌流時間を4から12週間まで延長した状態でのグリア細胞の動態を検討する必要がある。臨床面における研究として、脳梗塞患者の剖検脳を用いた検討でもIL-6の発現は神経細胞が中心であり、大脳白質での発現はほとんど認められなかった(Suzuki et al. Expression of interleukin-6 in cerebral neurons and ovarian cancer tissue in Trousseau syndrome. Clin Neuropathol 21:232-5, 2002)。 またドイツHeidelberg大学のProf. Markus Schwaningerとの共同実験では、脳虚血後のサイトカイン発現における調節因子と体温の関係についての検討を行った(Herrmann et al. Regulation of body temperature and neuroprotection by endogenous interleukin-6 in cerebral ischemia. J Cereb Blood Flow Metab, in press)。
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