研究課題/領域番号 |
14770307
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高梨 正勝 筑波大学, 臨床医学系, 助手 (80312007)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | HIF-1α / hypoxia / ubiqutination / transfection / mutagenesis / overexpression / endothelin / ECE / 低酸素 / 過剰発現 / VEGF / エンドセリン / 虚血性心疾患 / 心不全 |
研究概要 |
本研究において、虚血に伴う組織や細胞での低酸素環境下で主な遺伝子発現調節を司っているhypoxia-inducible factor(HIF)-1αを通常酸素濃度培養環境下で活性化する細胞のモデルを作成することを試みた。通常酸素濃度でのHIF-1αの分解はE3 ubiquitin ligaseの修飾によるものとされており、この酵素はHIF-1αのdimer形成のパートナーであるvon Hipple Lindau(VHL)がHIF-1αと結合しubiquitinationが成立する。本研究でVHLとHIF-1αとの結合を阻害し、ubiqutitinationが成立しない環境を得るために、HIF-1αとVHLとの結合部位に変異を生じさせた。変異を持ったHIF-1αをCMV-IE promoterの下流に組み込んだ発現ベクターを作成し細胞にHIF-1α発現細胞株を得ることに成功した。遺伝子変異を有するHIF-1αを発現した細胞の特性を調べたところ、この細胞でのエンドセリン(ET)の発現が増強された。一方、このETに対する受容体であるET_Aおよび、ET_Bの発現変化に対して影響は認められなかった。しかし、ETを活性化体に変換する酵素であるEndothelin coverting enzyme(ECE)の発現が増強されることを確認した。ECE遺伝子のpromoter中にHIF結合領域(Hypoxia responsible element ; HRE)を有する事を確認した。以上の結果から心筋細胞中に活性化HIF-1αを発現させると細胞内でのETやECEの発現量が増加することを確認した。即ち、虚血に伴う細胞や組織が低酸素状態に陥った心臓内ではHIF-1αの活性化により血管作動性物質であるETの発現が上昇し、更にETの活性化体への変換酵素の上昇を高め、ET活性化へと誘導を行っていることが示唆された。これらの一連の反応が、虚血性心疾患での病態悪化の原因の一つに成り得ることも予想される。
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