研究概要 |
1.in houseマイクロアレイを用いた心肥大刺激による心筋細胞内遺伝子発現の検討 0〜3日齢の新生児ラット培養心筋細胞(パーコール法にて精製したもの)を心肥大因子endothelin-1(以下ET-1:10^<-7>M)で刺激し、刺激後0,2,6,12,24時間におけるtotalRNAを抽出した。同時間経過の無刺激心筋細胞のtotalRNAも抽出し、発現遺伝子の差をin house心臓特異的マイクロアレイを用いて検討した。同アレイの特色は、1.心臓cDNAライブラリーから作成した臓器特異的アレイであること、2.サブトラクションを用いてredundancyを取り除くことにより心筋における発現量の比較的低い遺伝子も載っていること、などがある。各時間における遺伝子発現の差を時間経過でプロファイリングした結果、注目すべき遺伝子が認められた。 TSC-22と呼ばれる遺伝子は、これまで特殊な癌細胞においては増殖抑制作用を持つことが報告されてきたが、心筋細胞を含めた正常細胞におけるその生理作用、生体内機能については知られていない。 マイクロアレイ解析の結果、ET-1刺激によりTSC-22の発現亢進が認められたため、この遺伝子に注目し、他の心肥大因子による発現を検討したところ、phenylephrineやCT-1などすべての心肥大因子により発現亢進を認めた。In vivoでの発現検討のため、monocrotalinによる右心肥大モデルの心筋を検討したところ、TSC-22の顕著な発現亢進を認めた。 TSC-22の心肥大における機能解析のため、TSC-22のアデノウイルスを作成し、培養心筋細胞に感染させた。コントロール群と比較し、心筋細胞形態の変化は認められず、肥大抑制あるいは亢進作用も認められなかった。 TSC-22のアンチセンスオリゴによる発現抑制にて心筋細胞の肥大における機能を現在検討中である。
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