研究概要 |
(1)尋常性乾癬におけるDGKδ splicing variantの発現 我々はこれまでの研究で、ラット皮膚においてDGKα、ζ、εの3つのアイソタイプが発現しており、表皮細胞の分化、増殖および毛包成長などにDGKが重要な役割を果たすことを示唆する結果が得られていた。近年DGKδの遺伝子がクローニングされ、そのsplicing variant(DGKδ1、DGKδ2)が報告されており、EGFやTPAによりその発現が調節されることがわかっている。今回、正常皮膚および乾癬の病変部における発現をRT-PCRで解析したところ、正常皮膚と乾癬病変部での発現パターンが異なることを見出した。現在その局在を調べるためにin situ hybridization法で解析している。 (2)Real-time PCRによるDGK発現量解析 これまでの研究で創傷治癒過程や尋常性乾癬病変部ではDGKの発現が亢進することを明らかにしてきた。今回はLightCycler thermal cycler system (Roche Diagnostics)を用いてDGKα、ζ、εの発現量を定量するためにprimerを設計した。さらにPCR産物の同一性を確認するために融解曲線分析を行いPCRに有用なprimerを作成した。現在各種増殖因子を添加した培養角化細胞において発現量を解析中である。 (3)創傷治癒モデルにおけるDGKζの発現 ラットに皮膚欠損をつくり、1,3,5,7,15日目で皮膚欠損させた部分を含む周囲を切除し創傷治癒のモデルとした。このモデルをもちいて経時的にDGKζの発現変動をin situ hybridization法で解析した。DGKζは創傷治癒過程において表皮細胞および線維芽細胞において発現が亢進することを以前報告したが、今回詳細に検討したところマクロファージにおいて強い発現が見られることを明らかにした。
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