研究概要 |
新潟県糸魚川市在住の65歳以上の高齢者を対象とした調査は本年度で終了した。アルツハイマー型痴呆と診断されたものは232名であり、それらに対して、MMSE, CDR,柄澤式、N-ADL,といったスケールを用いた評価を行った。49名の高齢者においてはMMSEを完全に解答できなかった。今回の検討に関しては、MMSEと他の評価スケールに関してはこの49名を除いた183名に関して行い、MMSE以外の評価スケール間の相関に関しては232名て行った。各評価スケール間の相関に関してはCohen's Kappa statisticsを用いた。その際、MMSEの得点に関しては、30点〜24点、23点〜18点、17点〜12点、11点〜0点の4郡に分割した。CDRとMMSEとの相関を検討した場合、CDR0.5,CDR1,CDR2,CDR3とCDR4といった4郡間で検討した場合に、κは0.21となりFairとなった。MMSEと柄澤式では、κは0.027とslight、MMSEとN-ADLに関しては50点〜41点、40点〜31点、30点〜21点、20点〜0点といった4郡に分けて検討したときに、κは0.084となり、slightであった。以下同様の比較を行った。CDRとN-ADLのκは0.313でFair、CDRと柄澤式の場合、CDRをCDR0.5とCDR1、CDR2、CDR3、CDR4の4郡に分けた場合に、κは0.712とsubstantia1と他と比べて高い相関が得られた。N-ADLと柄澤式のκは0.334でFairとなった。以上のように柄澤式とCDRといった重症度といった同じものを評価するスケールに関しては、高い相関を得られたが、その他の評価スケール間ではあまり高い相関は得られなかった。この結果を検討すると共に、MMSE各設問に関しても統計解析を行い、重症度の推移に基づくシェーマを作成する。
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