研究課題/領域番号 |
14770526
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
血液内科学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神田 善伸 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (30334379)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
|
キーワード | HLA / 同種造血幹細胞移植 / フルダラビン / Campath-1H / GVHD / 造血幹細胞移植 / Camath-1H |
研究概要 |
これまでにin vitroの系で得られた知見に基づき、実際にヒトでのT細胞除去を行わないHLA不一致移植の臨床試験を行った。具体的には移植前処置としてフルダラビンやCD52に対するモノクローナル抗体であるCampath-1Hを併用し、ドナー細胞の生着のための十分な免疫抑制を行うと同時に、同種反応を示して増殖するリンパ球を抑制することにより、同種抗原特異的な免疫寛容状態を誘導した。移植後のドナー細胞の生着を確認するため、short tandem repeatを利用したキメリズム解析を行うと同時に、サイトメガロウィルスpp65抗原由来のペプチドとHLA-A*2402分子のテトラマーを用いてサイトメガロウィルス特異的細胞傷害性T細胞を定量することによって、正常な免疫反応が保たれているか否かを評価した。 8症例(年齢中央値44.5歳、範囲27〜59歳、3名は55歳以上)に移植を行った。ドナーはGVHD方向、拒絶方向いずれも二座不一致が4名、三座不一致が4名である。全例にドナー細胞の生着がえられ、好中球回復までの期間の中央値16.5日(12〜21日)であった。Grade III以上のGVHDを認めたのは1名だけであり、移植合併症による死亡はGVHDによる1名(移植後66日)と、間質性肺炎による1名(移植後197日)であった。CMVの再活性化は5名に認められ、1名が移植後160日にCMV網膜症を発症したが、いずれもganciclovirで軽快した。移植後のGVHDの程度によってcyclosporineの投与量、減量速度を調節することにより、過度な免疫抑制を行わずにGVHDをコントロールできる。実際、GVHDを発症しなかった患者では、移植後100日以内にすべての免疫抑制剤を中止することに成功している。以上のことから、本研究で用いた移植方法によって、拒絶やGVHDは十分に抑制され、HLA二座以上不一致の血縁者間移植を安全に行うことが可能であることが示唆された。
|