研究概要 |
1.p51分子機能解析 p51遺伝子発現の消失している樹立細胞株(M13)にp51cDNAを強制発現させ、オリジナルM13細胞と遺伝子および蛋白質の発現の差を比較した。 (1)DNAアレイ法を用い、p51遺伝子の発現により遺伝子発現が変化する遺伝子(ターゲット遺伝子)8種類(Cyclin D1,Cyclin D2,Topoisomerase I,Topoisomerase II,Rb like 2,TEL,p53 binding protein 1,p53 binding protein 2)をピックアップした。 (2)リアルタイムPCR法で上記遺伝子発現量の変化を検討したところ、Cyclin D1,Cyclin D2およびTopoisomerase IIの3遺伝子で変化を認めた。 (3)ウェスタンブロティング法で蛋白レベルの変化を検討したが、上記3種の蛋白量に変化はなかった。しかしGrb2,Mdm2の2種の蛋白発現がp51発現M13細胞で増加していた。Grb2,Mdm2とp51分子の相互関係につき検討解析中である。 2.急性白血病患者検体を用いたp51遺伝子変異解析 (1)RT-PCR-SSCP法:84例の患者検体からtotal RNAを抽出後、cDNAを作成し、p51特異プライマーを用いたSSCP法による変異解析を行った。 (2)サブクローニング法:RT-PCR-SSCP法でバンドのシフトが認められた検体についてサブクローニング法により塩基配列の決定を行い、正常p51遺伝子と比較したところp51遺伝子変異は認めなかったが、急性骨髄性白血病の一例でp51遺伝子が消失していた。M13細胞をもちいてp51遺伝子発現消失機構につき現在解析中である。 3.p51発現トランスジェニック(Tg)マウスの作成 p51発現Tgマウスを作成中であり、p51発現造血幹細胞における白血病抑制機構を平成15年度に研究予定である。
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