研究概要 |
目的:昨年度作成したマウス新生仔CLDモデルを用い,(1)高濃度酸素曝露後の呼吸機能の改善を検討する,(2)短期高濃度酸素曝露後の細胞新生率の変化を検討する,事を目的とした. 方法:(1)生後24時間以内の新生仔マウスを90%酸素下あるいは大気下で7日間飼育し,マウス新生仔CLDモデルを作成した.その後7,14,21日目に,呼吸機能検査,気道過敏性検査を施行した.(2)90%酸素下で新生仔マウスを72時間飼育後,大気下で飼育した.高濃度酸素曝露終了後96時間まで24時間毎に検討を行った.即ち,BrdU投与後に屠殺し,組織標本を作成し,肺内の細胞の細胞新生率を測定した. 結果:(1)7日間の酸素曝露終了後7日では気道過敏性,気道抵抗の指標は共に増加していたが,これらは,14,21日後と経時的と改善した.(2)3日間の高濃度酸素曝露終了後は48時間後まで細胞新生率の低下を認め,以後は回復し対照群と同等の細胞新生率を示した. 結論:本モデルでは,呼吸機能検査上の異常は経時的に改善した.この間には肺の再生が起こっていると予想され,今後この過程における肝細胞増殖因子(HGF)の関与の検討が必要である.また,72時間という比較的短期の高濃度酸素曝露後でも細胞新生率は一時的な低下を示した.この細胞新生低下に対してHGFが効果を示すかの検討が必要である.
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