研究概要 |
私共はゴナドトロピン誘導性転写因子Gonadotropin Inducible Ovarian Transcription factor(GIOT)の相互作用タンパク質を同定する中で、転写因子のモチーフであるHNG-Boxを有する新規遺伝子GIP(GIOT-interacting protein)を単離した。そこでGIPの発現様式および機能の解析を行い、以下に示す知見を得た。 1, GIPの発現様式をNorthern blottingおよびRT-PCRにより検討したところ、GIPは視床下部-下垂体-性腺系にのみ発現が認められ、特に卵巣に強い発現が認められた。 2,卵巣における発現局在をin situ hybridizationにより検討したところ、未成熟卵胞の顆粒膜細胞に発現が限局していた。 3,GIPに対する特異的な抗体を作成し、卵巣におけるGIPタンパク質の発現を検討した結果、GIPタンパク質の発現が認められ、さらにその発現は核画分にのみ認められた。 4,GFP-GIP融合タンパク質を作成し、細胞内局在を検討したところ、GIPは核に存在した。 5,GIPの転写活性化能をmammalian GAL4 one-hybrid systemを用いて解析した結果、GIPは転写活性化能を有し、それはN末端の40アミノ酸に依存していた。 これらの結果から、新規転写因子GIPは、未分化顆粒膜細胞において、標的遺伝子の転写を活性化することにより機能していることが示唆された。
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