研究概要 |
(乳癌とCLA-1) 乳癌組織においてはCLA-1の発現レベルが上昇していた。HDLとの結合能のみを有するDecoy CLA-1発現ベクターを蛍光ラベルHDLの取込みを指標にして作成した。作成されたDecoy CLA-1発現ベクターを遺伝子導入し、恒常的発現乳癌細胞を樹立した。Decoy CLA-1発現細胞における細胞増殖については、[^3H]thymidine uptake、MTT assayで検討したところ、著明に抑制されていた。またその機序は転写因子AP-1を介するものであった(Cancer Res 64,1515,2004)。 (副腎とCLA-1) 副腎組織、副腎皮質由来腺腫におけるCLA-1が発現されていた。CLA-1発現細胞株を樹立した。この細胞にHDLを添加することによりステロイドホルモン合成能が上昇した。現在ステロイドホルモン合成促進作用に関して、代謝酵素の影響について検討中である。 (動脈硬化とCLA-1) 血小板にCLA-1が発現していることをみいだし、血小板表面におけるCLA-1の発現が血中HDLと相関していることを報告した。(Arterioscler Thromb Vasc Biol.2003)またCLA-1の発現は血小板の凝集能およびコレステロール含量とは逆相関であった。さらには、動脈硬化性疾患患者においてはCLA-1の発現が低下しており、動脈硬化疾患との関係が示唆された。また動脈硬化の増悪因子であるIGF-1がPI3-K/Aktを介してCLA-1の発現を抑制することを報告した(Endocrinology 2004)。 (神経変成性疾患とCLA-1) アルツハイマー病の脳においてCLA-1が発現誘導されることを発見した。またCLA-1の役割として、アルツハイマー病のアポトーシス細胞の認識処理が推定された。現在、アポトーシス細胞の認識機構に関しては、他の受容体PSRと協調して認識を行っていることを報告した(J Mol Endocrinol.2004)。
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