蛍光蛋白遺伝子であるEGFPをコードしたプラスミドを入手し、これを大量に調整した。 マウス(C57BL/6)の生体抹消血液中より血管内皮前駆細胞を、CD34をマーカーとしてFACSによって取り出し、細胞増殖培養液中で培養して増やした。 EGFPを組み込んだプラスミドを燐酸カルシウム法にてこの血管内皮前駆細胞に導入した。 蛍光顕微鏡にてその発現を確認したところで細胞を回収した。 一方で動物モデルの確立を行った。 皮下腫瘍モデルはC57BL/6と腎細胞癌由来細胞株Rencaを移植する系の確立を行った。 細胞の量によって結節を形成する時期に1週間程度の差がみられるため投与時期、細胞数の統一が必要であった。大腸癌肝転移モデルはCT26の脾臓内注射によって確立された。腹膜播種モデルはRenca、CT26それぞれで作成することができた。 はじめに皮下腫瘍モデルにおいてin vivoにおける効果をみた。 Renca cell 5x10^6個を皮下に移植、約10日で皮下に触知できる結節を形成するようになる。この時期を見計らって調整した血管内皮前駆細胞を移植した。 移植3日後に皮下腫瘍を取り出し、凍結切片を作成、DAPI染色下で蛍光顕微鏡にてEGFPの発光を観察した。バックグラウンドを考慮して染色をせずに蛍光を確認することは難しく、抗GFP抗体で免疫組織染色をすることとした。抗GFP抗体による免疫染色によりわずかに血管内皮細胞があるのを確認することができた。しかしあまりに効率が悪く改善の余地を大きく残した。今後はトランスフェクション後の血管内皮前駆細胞が分化してないかの確認とトランスフェクションの効率の改善、またレトロウイルスベクターによる遺伝子導入を検討したい。
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