【H15年度の実験】 1)純系ラット間における肝実質細胞の小腸壁内への移植 拒絶の影響を除外するためLewisラット(Lew)を用いて検討した。6週齢雄性Lewから肝実質細胞(Ht)を分離。5x10^7個のHtをLewの上腸間膜動脈(SMA)から注入。注入後21日目まで経時的にラットを犠牲死させ確認。結果21日目のラット小腸壁動脈内に抗アルブミン染色陽性のHtを認めた。 2)肝幹細胞の小腸壁内への移植 a)Lewから肝幹細胞(LEC)を分離 ActinaseEを用い雄性ラットからLECを分離。分離細胞はAFP(+)、Albumin(-)、CK18(+)、CK19(+)でありこれをL-LECと同定した。 b)L-LECの小腸壁内への移植 5x10^7個のL-LECをSMAから注入。注入後第1、第7日目にラットを犠牲死させたが、小腸壁内に細胞の同定はできなかった。 c)L-LECの細胞標識 GFP発現プラスミドをベクターとして(pEGFP-N1)リポソーム法にてtransfectionした(導入効率は9±3%)。5x10^7個の本細胞をSMAに注入したがGFP陽性細胞は同定できなかった。 3)肝障害ラットへの細胞移植 CC14を腹腔内投与し肝障害モデルを作製。12時間後にSMAからPBS1ml注入(PBS投与群)、Htを5x10^7個注入(Ht群)、L-LECを同数注入(L-LEC群)(各n=5)。注入24時間後の生存率は3群ともに20%で、36時間以内に全群死亡した。 【まとめ】 Htの小腸壁内への生着は認めたがLECの生着は認めなかった。これはLECが肝実質細胞と比較して小さいことから門脈系へ流出したと推定した。今後肝内における細胞の生着を確認する予定である。また急性肝障害時におけるSMAからの細胞移植で予後の改善は得られず、今後LEC有効利用のための再検討が必要であると思われた。
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