研究課題/領域番号 |
14770651
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
池田 直也 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20336861)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 膵癌 / 線維芽細胞 / 抗体療法 / モノクロール抗体 / 細胞運動阻止抗体 / モノクローナル抗体 / Hybridoma |
研究概要 |
本研究は膵癌の腫瘍構成成分である間質に注目し、膵癌細胞と腫瘍内間質との相互作用に着目して実験を立ち上げた。他の癌腫に比べて多くの間質を有する膵癌の特徴を考え膵癌細胞が腫瘍として悪性度を獲得するためにははじめに膵癌細胞が周囲の間質に働きかけ、次のステップとして周囲の間質よりパラクライン的に必要なgrowth factor等を得て膵癌細胞にとって都合の良い環境を築いてゆくのではないかと考えた。間質のなかでも線維芽細胞に着目し、膵癌細胞自体が分泌し、線維芽細胞に影響を与える特異的分子が存在すると考え、臨床応用を目的とした膵癌に特異的で且つ機能を有するモノクローナル抗体の作製を計画した。14年度は当科にて樹立した線維芽細胞株NAFI-1の遊走能を抑制するモノクローナル抗体をスクリーニングにより二種類得た。15年度はさらに、新たに膵癌切除標本より培養を繰り返して膵癌由来線維芽細胞株PNAFI-1を樹立した。このPNAFI-1の培養上清を加えて多数のヒト膵癌株を培養したところ、9株中7株で著明に増殖能が高まることが判明した。また、逆にPNAFI-1も単独培養よりも膵癌細胞株培養上清を添加した際に増殖能並びに遊走能が高まることが判明した。さらに興味深いことに、切除胃癌より樹立した胃癌由来線維芽細胞株の培養上清を膵癌細胞株に添加しても増殖能に変化は認めなかった。これらの実験結果より、膵癌細胞と膵線維芽細胞とは膵癌という腫瘍を形成してゆくなかで互いに相乗効果を及ぼすという結果を得ることができた。また、前回に同様のモノクローナル抗体の作製方法にて血管新生を標的としたモノクローナル抗体作製においては、ヒト線維肉腫細胞株HT1080の細胞運動を著明に阻止し、且つ、血管内皮細胞モデルHUVECの運動、並びに管腔形成を著明に抑制するMAb MH8-11が得られ、このモノクローナル抗体は遺伝子クローニングによりAminopeptidase N (APN)/CD13を認識していることをつきとめた。さらに、ヒト膵癌におけるAPN/CD13発現の意義を検討したところ、血管新生の指標とした血管密度と有意に相関し、また、APN/CD13は予後不良膵癌における重要な予後規定因子の一つであることを見いだした。以上の研究結果は、 Clin Cancer Res.2003 Apr :9(4):1503-1508、Anticancer Res.2003 Mar-Apr :23(2B):1333-1341、Anticancer Res.2003 Nov-Dec :23(6C):4721-7、Oncol Rep.2004 Feb :11(2):277-84に論文発表した。
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