研究課題/領域番号 |
14770660
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
伊東 功 東海大学, 医学部, 助手 (70297258)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2002年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / DOTAPコレステロール / 転移性肺がん / 転移性肺癌 |
研究概要 |
【はじめに】我々はカチオニックリポソームであるDOTAPコレステロールを用い、DOTPAコレステロール・プラスミド複合体の遺伝子導入後の腫瘍細胞と正常細胞における導入遺伝子の発現レベルの相違についてin vitroおよびin vivoそれぞれの実験系において比較検討を行なった。【対象と方法】実験に用いた細胞株はヒト肺癌NSCLC細胞株であるH1299、A549、H460とヒト正常線維芽細胞株であるCCD16、MRC9およびヒト正常気管上皮細胞株であるNHBEさらにマウス線維肉腫細胞株であるUV2237細胞株とマウス線維芽細胞株である3T3細胞株を用いた。In vitroでの実験系では、DOTAPコレステロール・ルシフェラーゼプラスミド複合体を遺伝子導入後のルシフェラーゼ活性を測定した。その後、蛍光標識したDOTAPコレステロール・ルシフェラーゼプラスミド複合体を遺伝子導入し、細胞への取り込みの差をフローサイトメトリーにて測定するとともに細胞の呑食能を抑えるサイトカラシン添加後で取り込みがどう変化するか観察を行った。in vivoの実験においては、C3Hマウスのシンジェニック転移性肺癌モデルを用い、蛍光標識したDOTAPコレステロール・ルシフェラーゼプラスミド複合体を尾静脈より投与し、24時間後に肺組織を摘出し、蛍光顕微鏡にて肺組織ないでのDOTAPコレステロール取り込みおよび肺組織中のルシフェラーゼ活性を測定した。さらに、非担癌C3Hマウス、UV2237担癌C3Hマウスそれぞれより肺胞マクロファージを採取し、DOTAPコレステロール・ルシフェラーゼプラスミド複合体による遺伝子導入後の遺伝子発現の差を比較検討した。【結果】in vitroの実験では、ヒト腫瘍細胞株であるH1299、A549、H460及びマウスの腫瘍細胞株UV2237は正常細胞株であるMRC9、CCD16、NHBEおよび3T3と比べ導入遺伝子の発現が有意に高かった。また、単光標識したDOTAPコレステロール・ルシフェラーゼプラスミド複合体の細胞内での取り込みは腫瘍細胞で高く、サイトカラシンの投与により取り込みは抑制された。in vivoの実験においては、UV2237腫瘍細胞肺転移モデルマウスでは転移のないマウスと比べ尾静脈投与後、肺組織中においてのDOTAPコレステロール・ルシフェラーゼプラスミド複合体の細胞内への取り込み及び導入遺伝子の発現が有意に高く、特に転移性肺腫瘍部での取り込みおよび遺伝子発現が高かった。また、肺胞マクロファージへの遺伝子導入実験においては、担癌マウスより採取したマクロファージにおいてルシフェラーゼ遺伝子の発現が高かった。【考察】今回の実験においてDOTAPコレステロール・DNA複合体の経静脈的投与により正常細胞と比較して腫瘍細胞において導入遺伝子の遺伝子発現の上昇が認められたが、その要因の一つに腫瘍細胞によるDOTAPコレステロール・DNA複合体の細胞内への呑食能の増加が関与していることが明らかになった。
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