研究課題/領域番号 |
14770750
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
茶薗 昌明 (茶園 昌明) 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00277055)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 骨補填材 / サイトカイン / β-TCP / ヒアルロン酸複合体 / 骨欠損 |
研究概要 |
我々は、これまでにオリンパス光学工業との共同研究で吸収性の人工骨(β-TCP)を開発し、その有用性を報告してきた。さらに、その顆粒体と生体吸収性物質であるヒアルロン酸溶液との複合体が前記の人工骨と同等の骨伝導能を有し、injectableなものであることを見出している。 本研究は、骨形成能を有する種々の成長因子と骨伝導能を有する人工骨とヒアルロン酸とを用いて複合体にし、この骨補填材(骨補填材A)を骨欠損部ならびに骨折部に投与することにより、骨形成ならびに骨折治癒過程の検討を行った。 その結果、海綿骨欠損部にβ-TCPをブロック状ならびに顆粒状にしたものを充填すると、術後2週で、すでにβ-TCPは幼若骨梁に取り囲まれ、同時に吸収される像が観察された。術後8週では骨孔部はほとんど新生骨に置換されていた。すなわち、この吸収のプロセスには1)体液と接触することによる物理化学的な溶出と2)細胞の貧食によることが考えられているが、本研究から、早期より破骨細胞が重要な役割を演じることが判明した。そこで破骨細胞数の計測を行ったところ、2週でTRAP陽性細胞数がピークとなり、以後、減少することが明らかとなった。一方、新生骨量は4週で最大値を示し、以後、滅少していた。このことから、骨吸収のピークと骨形成のピークは約2週のtime lagをもって生じていることがわかった。また、3.5%ヒアルロン酸は容易に凍結乾燥したbFGFを溶解し、その作用発現を阻害することなく、さらに高い粘性を有するため、サイトカインを局所に留める担体に成りうることがわかった。以上の結果から、顆粒状β-TCPと高い粘性を有する3.5%ヒアルロン酸の複合体は、ペースト状でinjectableなものであり、新しい骨充填材かつサイトカインの担体として臨床応用される可能性が示唆された。
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