研究概要 |
インスリン非依存性糖尿病ラット(OLETF)および正常ラットを(LE)用いて、低酸素性血管弛緩反応を検討した。OLETFでは、LEと比較して、低酸素性血管弛緩反応は減少している傾向にあったが、有意な差は認めなかった。さらにOLETFおよびLEを用いて、低酸素性一酸化窒素依存性弛緩反応について検討したが、両群間で有意な影響は認められなかった。OLETFおよびLEを用いて、低酸素性K+チャネル依存性弛緩反応を検討したところ、その弛緩反応は、LEでは強く認められたが、OLETFではその抑制は小さい傾向にあった。しかし有意な差は認められなかった。LEの低酸素性弛緩反応は、ATP感受性カリウムチャネル拮抗薬であるglibenclamideにより抑制されたが、その他のカリウムチヤネル(BaC12, 4-aminopyridine, iberiotoxin, apamine)では影響をうけなかった。OLETFでの低酸素性弛緩反応は、他のカリウムチャネル拮抗薬に比べATP感受性カリウムチャネル拮抗薬であるglibenclamideにより抑制される傾向にあったが、有意な差は認められなかった。OLETFおよびLEを用いて、揮発性麻酔薬(ハロタン、セボフルラン、イソフルラン)を前処置した状態で低酸素性血管弛緩反応を検討したが、揮発性麻酔薬による前処置によって、低酸素性弛緩反応において両群間で有意な差は認められなかった。以上の結果より、他の報告と同じように低酸素性血管弛緩反応はATP感受性カリウムチャネルを介した弛緩反応であることが示唆された。正常ラットに比較してインスリン非依存性糖尿病ラットでは、低酸素性血管弛緩反応は減弱している傾向にあった。低酸素性血管弛緩反応は、揮発性麻酔薬前処置により、有意な影響は与えなかった。
|