研究概要 |
子宮頚部上皮から前癌状態、浸潤癌と進行していく過程で、Notch-1発現が増強していくことを平成14年度に報告した。 組織切片上での検討 子宮頚部病変におけるHPV感散とNotch-1発現との関係を検討した。 HPV negative群,HPV low risk感染群,HPV high risk感染群の3群において各組織切片(正常、CIN、扁平上皮癌)上でNotch-1の発現態度、増殖能(BrdU)、アポトーシス(TUNEL)を免疫組織学的に検討した。 正常頚部上皮、CIN1においては、HPV感染の有無に関わらずNotch-1の発現態度、増殖能、アポトーシスともに差は認められなかった。しかしCIN3、浸潤癌においては、HPV negative群、HPV low risk感染群に比較してHPV high risk感染群で高いNotch-1発現の傾向が認められた(有意差なし)。 特に浸潤癌ではHPV high risk感染群で核におけるNotch-1発現と増殖能が比較的相関していた。 腺上皮と腺癌においては明らかな相関は認められなかった。 培養細胞での検討 CaSki(HPV positive扁平上皮癌細胞株)、Hela S3 (HPV positive腺癌細胞株)、C33a (HPV negative頚癌細胞株)においてNotch-1の発現態度、増殖能(BrdU)、アポトーシス(TUNEL)を免疫組織学的に検討した。 CaSki、Hela S3培養系においては、C33aと比較して高いNotch-1発現の傾向が認められた(有意差なし)。 この傾向はmRNAレベルにおいても確認された(有意差なし)。 抗癌剤(シスプラチン)、性ステロイドホルモン(E2,P4)添加では各培養系において非添加群と比較して明らかな差は認められなかった。 以上よりNotch-1はHPV感染細胞の癌化に何らかの役割を担っている可能性が示唆された。
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