研究課題/領域番号 |
14770903
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
白馬 伸洋 愛媛大学, 医学部, 助手 (70304623)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
2003年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 虚血性内耳障害 / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / G-DNF / ウエスタンブロット法 / X-gal染色 / スナネズミ / 蝸電図 |
研究概要 |
本研究では一過性内耳虚血の動物モデルを用いて、正円窓経由で注入を行ったアデノウイルスの蝸牛内での発現の確認と、ウイルスベクターを介した神経栄養因子の一つであるG-DNFの投与を行い、内耳虚血後に内有毛細胞にて認められる遅発性細胞死に対する防御効果の検討を行った。 1)スナネズミ蝸牛におけるアデノウイルス発現確認。 スナネズミを麻酔後、正円窓経由に蝸牛内に蛍光発色蛋白質の発現を促す遺伝子を組み込んだLacZアデノウイルスベクターの注入を行った。注入4日後、蝸牛を摘出、パラホルムアルデヒドにて固定後、X-gal染色を行い、立体顕微鏡下にてウイルスの発現の観察を行った結果、蝸牛全体にウイルスの発現が認められた。またG-DNFを組み込んだアデノウイルスベクターを同様の方法にて蝸牛内に注入し、注入後の蝸牛内におけるG-DNF蛋白の測定をウエスタンプロット法にて測定を行った結果、注入7日目にてコントロールと比較し、約40倍のG-DNF蛋白の発現が認められた。 2)一過性内耳虚血障害に対するG-DNFウイルスベクターによる防御効果の生理学的検討。 スナネズミ蛸牛にG-DNFを組み込んだアデノウイルスベクターおよびコントロール群として外リンパ液を正円窓経由に注入し、注入4日後にスナネズミ両側椎骨動脈の血流速断・再開通により一過性内耳虚血の負荷を行った。虚血前後における動物の聴力の評価は蝿電図を測定することによって行った。結果、虚血7日目にてG-DNFアデノウイルス群がコントロール群と比較し、聴力域借上昇が有意に抑制されていた。 3)一過性内耳虚血障害に対するG-DNFウイルスベクターによる防御効果の組織学的検討。 虚血による内耳障害の組織学的検討についてはRhodaraine-phalloidinおよびHechst33342で採取した蝸牛の二重染色を行い、有毛細胞のF-actinと核を蛍光顕微鏡で観察し、有毛細胞の障害程度について観察をした。結果、虚血7日目にてG-DNFアデノウイルス群がコントロール群と比較し、内有毛細胞の脱落割合が有意に抑制されていた。 以上の結果より、蝸牛内に投与されたアデノウイルスは蝸牛内に広く感染し、G-DNF蛋白の著明な発現を誘導すること、またアデノウイルスによって誘導されたG-DNF蛋白により、一過性虚血後の内有毛細胞における遅発性細胞死が抑制され、聴力障害が軽減されることが明らかとなり、内耳虚血障害に対する、G-DNFアデノウイルスベクターによる遺伝子治療の有効性が証明された。
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