研究概要 |
真珠腫性中耳炎の重要な臨床的特徴である急激な進行性骨破壊の機序に関する研究は以前から積極的に行われてきたが未だに不明な点が多い。本研究における第一の目的は、真珠腫性中耳炎の骨破壊能に関連する遺伝子・蛋白を同定することである。平成14年度は、ヒト中耳真珠腫組識(初回手術症例に限定し患者への説明・同意を得ることを徹底した)の解析を開始し(初期目標は30症例)、臨床的所見(特に手術所見)および得られた中耳真珠腫細胞の骨吸収活性測定(Raiszら;J Clin Invest 44:103-116,1965、及び豊嶋ら;日耳鼻免疫アレルギー10:62-69,1992の方法を一部改変)などから総合的に各々の症例の骨破壊強弱を判断し分類し、発現の異なる遺伝子断片スクリーニングを試みたが(Differential display法、LiangとPardeeの方法を一部改変;Science,257:967-971,1992))、各々の中耳真珠腫組識よりのmRNA精製が難航し、cDNAの合成に至らなかった(コントロールとしてヒト正常外耳道上皮から得られた初代培養細胞を用いた)。そこで現在はプロテオミクス手法(二次元電気泳動および質量分析)を用い発現の異なる蛋白の解析を開始している。
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