研究概要 |
本研究ではddYマウスを用いた。内耳難聴モデルを作成するにあたり、マウスの正常聴力の基準設定を必要とした。両側鼓膜が正常であることを確認後、聴性脳幹反応を使って4,8,12,16,20kHzの閾値を測定し、各周波数の聴覚閾値が25〜40dBであるものを正常聴力動物とした。内耳難聴モデルは過大音響曝露による騒音性難聴動物の作製を試みた。本研究では過大音響曝露後、数日で閾値の回復を呈する一過性閾値変動難聴モデルを作成する必要があった。音響負荷の設定は8kHz純音、110dBで1時間の過大音響曝露を行った。この設定ではほとんどのマウスが曝露後、聴性脳幹反応で無反応を示し、聴力の回復はほとんどの動物で認められなかった。そこで、8kHz純音、110dBで30分、100dBで30分の音響曝露を行った。どちらの条件も80dB前後の閾値上昇を示し、約1週間で50dB前後に聴覚閾値の回復が認められた。しかし、まだ音響曝露による一過性閾値変動難聴は個体間のばらつきを多く認めるため、さらなる工夫を要するものと考える。次の段階として、subtractive hybridization法を用いて聴覚防御に関与する新規遺伝子を同定するために内耳total RNAを抽出しなくてはならない。目的の新規遺伝子を得るために、正常聴力マウス、一過性難聴マウス、永久的内耳難聴マウスそれぞれのtotal RNAが必要であると考え、現在抽出のための準備段階に入っている。
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