研究概要 |
NF-kappaB阻害剤のぶどう膜炎抑制効果に関する研究 1)NF-kappaB阻害剤であるpyrrolidine dithiocarbamate(PDTC)200mg/kgをリポポリサッカリド(LPS)投与1時間前に腹腔内投与し、24時間めの前房水を採取し、蛋白量、浸潤細胞数を定量した。PDTC投与群における蛋白量3.5±0.6mg/ml、細胞数90±43個/μlは無投与群の11.1±0.9mg/ml、1,100±254個/μlに比し、有意に減少していた(p<0.001)。 2)また、LPS投与後3〜6時間めに虹彩毛様体の上皮細胞・実質細胞の40-60%は活性型NF-kappaB抗体に陽性となったが、PDTC治療群では10%程度に低下した。 3)NF-kappaBに制御されているサイトカインの遺伝子発現をリボヌクレアーゼプロテクションアッセイにて検討した。結果、インターロイキン(IL)-1beta,IL-6,腫瘍壊死因子(TNF)-alphaのLPS投与3-6時間での著明な遺伝子発現が、PDTC治療により抑制されていた。 4)LPS投与後24時間めの前房水中におけるこれらの蛋白量をELISA法にて測定した。PDTC治療群ではIL-1betaが144pg/mlから4.0pg/ml, IL-6が448pg/mlから26pg/ml、TNF-alphaが83pg/mlから13pg/mlといずれも有意に減少していた。 5)ぶどう膜炎において、重要な炎症因子である一酸化窒素(nitrate+nitrite)に関しても検討した。LPS投与群では90μMであったが、PDTC投与群では16μMの検出限界値以下であった。 これらの研究より、PDTCは虹彩毛様体組織において,NF-kappaBの活性化を阻害し、サイトカインの発現および細胞浸潤を抑制し、眼内炎症を抑制することが明らかとなった。
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