研究概要 |
本年度は、昨年までにラット網膜虚血再灌流障害モデルにおけるアポトーシス関連因子中、DNAマイクロアレイで検討し増幅が認められ、組織学的にその局在の確認もできた転写因子について、RT-PCRによる経時的変化の検討を行い、これまでの結果を論文にした。 1.マイクロアレイの結果、再灌流後12時間の摘出網膜より4-44倍に増加していたc-Fos,Fra-1,Fra-2,c-Myc,c-Jun,Jun B,Cyclin D1,Cyclin D2についてRT-PCRにて再灌流後6,12,24,48時間の4点の経時変化を検討した。 2.Fra-1,Fra-2の発現は再灌流後6時間にピークとなり、続いてc-Myc,c-Fosが12時間、junB,c-Jun,Cyclin D1,Cyclin D2は24時間が発現のピークであった。 3.また、c-FosやFra-2では48時間に再度発現のピークを認めた。これらについて、発現の局在を免疫組織学的に確認したところ、以下のような結果が認められた。 4.6時間から12時間の再灌流後早期の転写因子の発現はアポトーシスに陥っている神経細胞、例えばアマクリン細胞や網膜神経節細胞に認められるのに対し、48時間に発現のピークがみられる転写因子はグリア細胞であるミューラー細胞での発現を認めた。 5.4の局在については細胞の固有のマーカーと転写因子の二重染色、TUNEL染色と転写因子の二重染色で再度確認した。 6.昨年度からのマイクロアレイ、免疫組織学的検討、今年度のRT-PCRの定量結果をまとめ論文に発表した。
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