研究課題/領域番号 |
14771019
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山村 健介 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90272822)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 咀嚼 / 嚥下 / 大脳皮質 / 脳の代償能 / 機能回復 / 大脳皮質感覚運動野 / 大脳皮質咀嚼野 |
研究概要 |
実験には主にウサギを用いた。前年度の片側および両側大脳皮質咀嚼・嚥下関連領域の可逆的破壊に伴い摂食・嚥下運動が受ける影響を調べる実験を遂行中、行動学的には片側の大脳皮質顔面運動野の冷却は、咀嚼・嚥下運動を強く障害しないことを示唆するデータが得られた。そこで、片側皮質が不活化されると他の皮質部位が速やかにその機能を代償するのではないかという仮説を立てた。この仮説を検証するために、顔面運動野の片側冷却と両側冷却が咀嚼・嚥下運動に及ぼす影響の違いを行動学的、筋電図学的解析に加え、下顎運動解析も用いて詳細に検討した。その結果、1)顔面運動野の片側冷却により、動物の咀嚼側は、冷却以前の咀嚼側に関わらず、皮質破壊側と同側(機能残存皮質の支配側)となること、2)顔面運動野の両側冷却により食物の取り込みが著しく障害され、以後の咀嚼運動の遂行が不可能となることが明らかになった。このことは顔面運動野は食物の取り込みや移送に重要な脳部位であるだけでなく、咀嚼側の決定に関与していることを示している。片側運動野の冷却は食物の取り込み行為に影響を及ぼさなかったことから、食物取り込み時の顎・顔面・舌の協調機能は対側の顔面運動野によって速やかに代償されるが、咀嚼側の決定に関する機能は代償されないことが示された。さらに、片側運動野冷却時の対側運動野神経活動がどのような影響を受けるのかについて、実験を行なっている。これまでに記録した運動野神経の内、3)対側運動野の冷却により活動様式を変化させるものが58%で、その内53%は活動が増加した。この結果は、少なくとも一部の運動野神経は正常時対側半球の運動野を介して抑制を受けていることを示唆している。また、4)対側皮質冷却の影響を受けないニューロンの87%は口腔領域に明瞭な受容野を持っていた。これより、咀嚼運動調節における感覚野からの感覚情報の重要性も示唆された。
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