研究概要 |
平成14年度は,まず試験片の製作とその熱処理方法について検討した.試作白金鉄系合金を使った実験では,鋳造のまま,溶体化処理後,時効処理後の3種の熱処理条件で機械的性質と機械加工性を調べた.その結果,硬さは時効処理後が最も高く,最も低かった溶体化処理後の約2倍であった.機械加工性は溶体化処理後が最も良く,時効処理後が最も悪かった.被削材の硬さは必ずしも機械加工性には結びつかないが,同合金は時効によって規則-不規則変態が起こり,硬さが大きく上昇したことで機械加工性が低下したと考えられた.したがって機械加工する場合は容体化処理後に行い,その後時効処理を行うのが良いと考えられた.また二オブを30%まで添加した試作チタンニオブ合金を使った実験では,鋳造のままでの機械的性質と機械加工性を調べた.その結果,硬さは二オブの添加量が30%で最大となった.ヤング率は二オブの添加量が増すにつれ,一旦減少したが,再び増加し,30%で最大となった.二オブの少量添加はチタンの機械加工性の改善に寄与しなかったが,30%では低速において純チタンより大きく改善された.30%ではオメガ相の析出がX線回折によって確認されたことから,これらの結果はベータマトリックス中に微細なオメガ相が均一に析出したためと考えられた.平成15年度は,さらに詳細な実験を行い,組成や熱処理条件によって機械的性質や機械加工性が変化する機構と最適な熱処理条件について,金属組織も含めて検討する予定である.
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