研究概要 |
Oral Health Impact Profile(OHIP)はオーストラリアで開発された口腔QOLの評価法であり,近年では他の国々でも徐々に使用され始めている.患者の感覚に基づいたEBM構築のためのインプラント治療成績をOHIPを用いて評価するに先立ち、以下の検討を行った。 我々は,OHIPの原版(英語版)を日本語に翻訳し,日本での使用の妥当性を確認するため、二ヵ国語に通じたもの(39名)を対象に原版と邦訳版の回答を比較・検討した.OHIPの翻訳の妥当性は項目ごとの一致率とλ係数(対象性評価の指標)によって分析した.尺度ごとの平均一致率はそれぞれ,「機能的な問題」75%,「痛み」76%,「不快感」69%,「身体的困りごと」79%,「心理的困りごと」77%,「社会的困りごと」90%,「ハンディキャップ」85%であった.全49項目中41項目は0.4以上のλ係数を有し、高い一致性が認められた.上記7尺度のα信頼性係数は,原版では0.76〜0.90,翻訳版では0.77〜0.89にあり,日英両版の尺度の内的妥当性が変わらないことが示唆された.日英両版における7尺度のSpearmanの順位相関係数は0.83〜0.92(P<0.001)で優位な相関性を示した.我々の製作した日本語版OHIPはこのように高い信頼性と翻訳の妥当性を有することから,日英二言語間で使用可能であることが示唆された. 本結果および内容は日本歯科補綴学会雑誌に投稿し、受理された。
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