研究概要 |
本研究では,既存の表面加工とは違う観点から硬組織と早期結合する材料を開発するための検討である.骨組織と直接結合する材料は,燐酸カルシウム系のセラミックスが知られているが,これらの材料は強度的には強くないため,単独で生体材料に用いるには問題がある.そのためプラズマ溶射やスパッタリングなど表面改質法などにより,表面特性向上を目的として行われるようになって来た.PVD法の中でもスパッタデポジション法は均質で強固なコーティングが出来ることから生体活性材料な材料を開発するためには,有効な方法であると考え検討を行った. 装置は,ANELVA社製L-332S-5FHS、スパッタ条件は,放電出力200w,放電圧力0.2Paで,石英ガラス表面にβ-TCPとTi金属を混合コーティングした.コーティーングされたCa-P層の表面状態について,島津社製X線光電子分析装置AXIS-ULTRAによる定量分析を行いエネルギー状態を評価した. 1.01sは530eV付近にピークを持ち,高結合エネルギー側にすそを引くような形をとり,変遷金属と結合した状態を示していると考えられることからTi金属と化合物を形成していると考えられる. 2.Ti2Pのピークから,金属Tiの結合エネルギー値は453.9eV, TiO2は458.7eVであることから,金属Tiと酸化された状態が混合している可能性がうかがわれた. 3.Clsのピークは表層に存在することから,これはコンタミであり内層では汚染の少ない状態であることが推察できる. 4.P2pは128eV付近にピークが現れ,これはリン酸イオンではなくリン化合物の状態を示していることが推察できる.
|