研究概要 |
市販リン酸塩系埋没材の組成および配合比を分析した結果を参考に、Al2TiO5を配合したコントロール試料、Al2TiO5の代わりに軟化温度の異なる3種類のガラスを配合したものの計4種類試作した。ガラスは、溶融石英(軟化温度約1600℃)、リチウム珪酸ガラス(約800℃)、アルミノ硼珪酸ガラス(約700℃)を使用し、各埋没材の焼却温度を800℃,900℃,1000℃,1100℃および1200℃の5条件とし、チタンJIS規格第2種を使用してCPチタン鋳造冠を作製した。また、金銀パラジウム合金において従来の鋳造法を用いて鋳造冠を製作し、原型金型へ復位させたときの浮き上がり量から適合精度の評価を行った。すべてのCPチタン鋳造冠において浮き上がりを示した。リチウム珪酸ガラス、アルミノ硼珪酸ガラスを配合したものでは浮き上がり量が少なかった。アルミノ硼珪酸ガラスを配合し焼却温度1100℃で製作したものが最も浮き上がり量が少なかった。しかし、すべてのCPチタン鋳造冠において、金銀パラジウム合金で製作した鋳造冠と比較すると、浮き上がり量は大きかった。 試作埋没材および市販されているチタン用リン酸塩系埋没材を顕微鏡加熱装置によってモニタリングしながら加熱、観察した。すべての埋没材において、加熱により埋没材の組織の変化が段階的にみられた。約200℃から約300℃の間に組織の構造が明瞭になり、約300℃から褐色を呈する部分(粒子)がみられ、徐々に色の変化が全体に広がった。約600℃になると色の変化が減少し、部分的に褐色を呈するようになった。約1000℃から粒子が徐々に結合を始め、褐色にみえていた部分が減少し、組織の構造が徐々に不明瞭になっていった。約1200℃になると組織の構造が不明瞭になり、粒子の境界が確認できなくなった。埋没材の熱膨張量の変化に少し遅れて、組織の変化が現れた。
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