研究概要 |
前年度までに,口腔癌の放射線感受性における14-3-3σの役割を検討し,検討した口腔癌細胞株6株はすべて,放射線によるDNA障害後,G_2M期に停止するが,14-3-3σの低発現株では,同高発現株に比較してそのG_2M期の停止からより早く回復することを明らかにした。しかしながら,14-3-3σ発現と放射線感受性との関連性を示すことはできなかった。 今年度は,14-3-3σ遺伝子に生じるメチル化を検索し,転写制御への関与につて検討を行った。 14-3-3σ低発現株は,メチル化を多く持つとの予想に反し,低発現株3株のうち2株のみに数か所のメチル化を認めたのみであった。 一方,14-3-3σ高発現株ではメチル化を全く認めなかった。このことは14-3-3σの転写抑制において,メチル化はあまり関与していない可能性を示唆していた。 また,p53に変異のある14-3-3σ高発現株では放射線照射によって14-3-3σの誘導が認められたが,14-3-3σ低発現株ではp53に変異のない細胞株においてでさえ14-3-3σ誘導は少なかった。 このことは,口腔癌においてはp53のステータスにかかわらず,14-3-3σが放射線照射によっての誘導されることを示していた。 今回の研究により14-3-3σ発現はCpGのメチル化やp53の状態によっても影響されるもののその発現は複合的であり,さらなる研究が必要と考えられた。 今回の,研究はまとめて英文誌に投稿中である。
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