研究概要 |
本研究の目的は、損傷された神経細胞がどのような経過をたどり、神経細胞死へと向かうのかを分子組織化学的に解析するとともに、人為的にその神経細胞死を阻止することができるかを検討することである。そのために神経軸索切断モデルを経時的に作製し、神経細胞を免疫組織化学、分子組織化学的手法をもって神経細胞死に関与する遺伝子群の検索を行った。 1)ラット舌下神経切断モデルの作成 オスWistar系ラット(7週齢)を腹腔内麻酔し、顎下部皮膚を切開、右舌下神経を露出。神経再生が起こらないように舌下神経を5mm切断除去し創部を縫合。神経切断後1,2,3,7,14,28日のラット延髄を屠殺、潅流固定後、摘出し、パラフィン標本を各3匹ずつ作製した。 2)免疫組織学化学的検索 そこで軸索切断された舌下神経がどのような経過をたどるのか経時的に免疫組織化学的検索を行った。細胞死関連遺伝子蛋白に関して、BCL-2ファミリーのBADに着目した。最近の報告によるとBADのリン酸化による影響が、神経栄養因子阻害による神経細胞死に深く関わっている。その他現在神経細胞死に関与すると言われている遺伝子ced-3/ICE系、Rasを免疫組織化学的手法およびin situ hybridyzation法を用いて検討した。 現在のところ、一部条件整わずに未だデータがそろっていない。 条件がそろった時点で、あらかじめそれらの関連蛋白の抗体を舌筋に注射し、軸索輸送に乗って延髄に取り込ませる。その後、神経軸索を切断して、形態的、TUNEL法により神経細胞死を検索する。神経細胞死が抑制されたかを検討することとしている。
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