研究概要 |
COX-2選択的阻害剤NS-398を用い、ヒト舌癌由来扁平上皮癌細胞株NAおよびHSC-4の免疫担当細胞に対する作用、その抗腫瘍免疫作用に関して検討し、以下のような結果を得た。 1 COX-2選択的阻害剤NS-398がマウス腹腔浸出マクロファージの増殖に及ぼす効果を調べたところ、NS-398はマクロファージ増殖を促進したが、マクロファージの一酸化窒素産生能には影響を及ぼさなかった。 2 COX-2選択的阻害剤NS-398のマクロファージ増殖促進作用は、IFN-γ処理することにより消失した。 3 COX-2選択的阻害剤NS-398で処理した扁平上皮癌細胞NAはICAM-1,ICAM-2のレベルに変化は見られなかったが、ICAM-3発現レベルが増強された。 4 マトリゲルインベージョンチャンバーアッセイにて、浸潤能に対する影響を検討した結果、NA,HSC-4両細胞群ともにCOX-2選択的阻害剤NS-398あるいはCOX-2 antisense-oligonucleotideにより浸潤能の抑制が認められた。 またこの効果は、PGE_2を同時添加することにより抑制された。 5 MMP-2の活性はNA,HSC-4両細胞群ともにCOX-2選択的阻害剤NS-398あるいはCOX-2 antisense-oligonucleotideにより阻害が認められ、PGE_2により抑制された。 以上よりCOX-2特異的阻害剤が、COX-2を高発現している癌細胞の産生能を抑制することによりその増殖を阻害することが示された。一方NS-398がマクロファージの機能を抑制することなく、その増殖を促進することが明らかとなり、COX-2特異的阻害剤を用いた新たな癌治療法確立の可能性が示唆された。
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