研究概要 |
(1)唾液腺腫瘍におけるCOX-2とHGFとの関係および役割:特に唾液腺腫瘍の分化について 唾液腺腫瘍におけるCOX-2発現とHGFの関係についてヒト唾液腺腫瘍培養細胞株HSGを用いて検討を行った。HSGにCOX-2を作用させ、RT-PCRにてHGF mRNAの発現を検索したところ、投与したCOX-2の濃度に依存してHGF mRNAの過剰発現認められた。さらに、多形性腺腫40症例の臨床検体を用いてCOX-2とHGFを免疫組織化学的に検討したところ強い相関を認めた(P<0.01)。以上より、唾液腺腫瘍におけるHGF発現にCOX-2が関与している可能性が示唆された。近年、HGFは唾液腺腫瘍の分化に関与していると考えられておりCOX-2が唾液腺腫瘍の分化に何らかの役割を果たしている可能性も考えられた。(Aoki T, et al.Cyclooxygenase-2 pathway correlates with hepatocyte growth factor expression in pleomorphic adenoma, reference to tumor differentiation. Oral Oncol, submitted.) (2)口腔扁平上皮癌におけるCOX-2 inhibitorの転移抑制効果について 6週齢BALB/c-nu/nu nude miceの舌に、高頻度にリンパ節転移を起こすヒト口腔扁平上皮癌細胞株(OSC19)を移植した実験モデルを用いて、COX-2 inhibitorの抗腫瘍効果・転移抑制効果について検討を行った。COX-2 inhibitor投与群、非投与群における原病巣と転移リンパ節巣のCOX-2の発現動態を免疫組織化学にて検討すると同時にCOX-2 mRNAの抽出を行いRT-PCRにて定量した。COX-2 inhibitor投与群は、非投与群と比較し転移性リンパ節の数は少なく、腫瘍径も小さい傾が認められた。また、E-カドヘリンの発現については優位差は認められず、現在転移の予測因子として注目されているCTGF発現などについても追加し検討・解析中である。
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