研究課題/領域番号 |
14771185
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
矯正・小児・社会系歯学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 康夫 九大, 歯学研究科(研究院), 助手 (10315096)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 口臭 / レンサ球菌 / 硫化水素 / 溶血 |
研究概要 |
申請者は口腔内常在細菌の中でも優勢を占める連鎖球菌に着眼し、数種類の連鎖球菌(S.anginosus、S.salivalius、S.oralis、S.gordonii、S.mutansおよびS.sobrinus)の粗酵素抽出物中に硫化水素産生能が存在することが明らかにした。この結果は、口臭の原因を考慮する上で口腔内の連鎖球菌が無視できない存在であることを意味する。さらに、S.anginosusは他の連鎖球菌と比較して、顕著に高い硫化水素産生能を有し、歯周病原因細菌に匹敵するほどの硫化水素を産生した。 この所見を詳細に解析するために、それぞれの菌種から硫化水素産生酵素を単離精製し、その酵素学的性質について比較検討した。硫化水素産生酵素は元来methionine合成経路のcytathionine β-lyaseとして働き、homocysteineを産生することが知られている。そこで、それぞれの精製酵素の基質としてcystathionineを使用すると、その分解能は大きな差異はなかった。一方、cysteineを基質として硫化水素産生能を比較したところ、S.anginosusの精製酵素のみが高い硫化水素産生能を有することが明らかとなった。この結果から、粗酵素における硫化水素産生能の違いは、酵素の性質に由来することが明らかとなった。 続いて、S.anginosusの硫化水素産生酵素によって産生される硫化水素の病原性を羊赤血球を用いて検討した。同酵素が産生する硫化水素は、赤血球中のhemoglobinをmethemoglobin、sulfhemoglobinなどの酸化hemoglobinに修飾し、赤血球内に酸化hemoglobinが蓄積した後に溶血を起こすことが明らかとなった。この結果は、高い硫化水素産生能を持つ細菌が口臭の原因としてのみ重要ではなく、病原性細菌として考慮すべきであることを示唆している。
|