研究概要 |
平成16年度は,平成14年5月より平成17年1月までに乳幼児歯科保健事業に参加した小児を対象に解析した結果を報告する。0歳児1名,1歳児158名,2歳児107名,3歳児34名の計300名が対象となった。家族構成人数について回答の得られた140名のうち,3名構成(両親と当該小児)の小児は83名(59.3%),4名構成は41名(29.3%),5名構成は8名(5.7%),6名構成は6名(4.3%),7名構成は2名(1.4%)であった。平成15年度に家族構成人数とCOを含むう蝕本数との間には相関がみられなかったことを報告したが,今回う蝕を有するか否かに注目して解析したところ,3名構成家族では健全歯のみの小児の割合は71.1%,う蝕を有する小児の割合は26.5%であった。一方,4名以上の構成家族では健全歯のみの小児の割合は77.2%,う蝕を有する小児の割合は21.1%であった。また間食を摂取する時間について解析しなおしたところ,3名構成家族では48.2%が決まっていると回答しており,決まっていないとする回答(45.8%)とほぼ同じ割合であった。一方4名以上の構成家族では決まっているという回答は64.9%で,決まっていないという回答(28.1%)を大きく上回っていた。両親と兄弟姉妹で構成する家族や,小児は当該小児のみで両親と両親以外の大人が同居する家族,また両者の混在する家族がみられたが,前述のう蝕の有無や間食の摂取時間に関して家族構成員による違いは認められなかった。一般に家族が増えると,通常の家事に加えて子育てに関わる仕事量が増加し,口腔保健にまで手が回らない事態も想定される。しかし本乳幼児歯科保健事業を利用している本研究の対象者は,リスクが上昇しがちな環境下でもそれを最小限に抑えることが可能であると推察された。
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