配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
本研究は脳性麻痺(CP)者の顎口腔機能に関する研究,特に下顎位感覚と咀嚼筋筋活動との関係である。また,中枢神経系に起因する口腔機能障害の病態を中枢神経レベルから解明する方法の確立にあり,CP者の口腔機能障害を理解するためと期待される。そこで、本年度はCP者を対象に笑気吸入鎮静法の笑気ガスが咬合や下顎位感覚に及ぼす影響の有無を確認するため笑気吸入時と非笑気吸入の条件における下顎位感覚の相違を咀嚼筋に対する振動刺激前後の弁別能を比較検討をし,記録分析を行うことになっていた。しかし,その前に一つ解明しなければならないことがあるため本年度は以下のことを行った。上記については今後行う予定である。本年度の研究は振動刺激が笑気吸入時において脳性まひ者の下顎に付着する筋に対し,どのように下顎位感覚に影響するのかを確認する目的で下顎位感覚弁別能テストにより評価した。条件としては、各被験者に対し振動刺激前と振動刺激後.また非笑気吸入時と笑気吸入時において実施した。被験者は,CP者8名,対象として'健常者8名とした。そして,以下の知見を得た。笑気吸入時における健常群内の試験棒別,刺激前後の弁別能の比較では試験棒が9、5mmの場合では,刺激後は刺激前よりも不正解率が有意に高い値を示した。その他の試験棒では有意差は認められなかった。笑気吸入時におけるCP群内の試験棒別,刺激前後の弁別能の比較では,試験棒が9.5mmの場合では,刺激後は刺激前よりも不正解率が有意に低い値を示した。その他の試験棒では有意差は認められなかった。 以上のことから,笑気と振動刺激が合わさると,それぞれの条件が単独時よりもCP者は上位中枢レベルで神経機能がさらに抑制され,CP者固有の持続的な筋トーヌスの亢進が抑制される,つまり笑気が上位中枢を介してγ-運動神経の活動を低下させ,また.振動刺激が緊張性振動反射を発現し,過敏な筋感覚の閾値を上昇させ,γ-運動神経の活動を低下させたために,筋紡錘の活動を低下させ,下顎位感覚の弁別能力の向上を示したと考えられる。
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