研究課題/領域番号 |
14771214
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
矯正・小児・社会系歯学
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
高田 圭介 福岡歯大, 歯学部, 助手 (90299595)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | ヒト破歯細胞 / 生理的乳歯根吸収 / RANKL / OPG / periodontal ligament / カルシトニンレセプター / 歯根吸収 |
研究概要 |
平成14年度の研究で、ヒト破歯細胞には破骨細胞同様にカルシトニン受容体が存在していること、しかし、カルシトニンは破骨細胞とは異なりプロテインキナーゼAを介して破歯細胞の硬組織吸収能を抑制することを明らかにした。これらの成果は「Calcitonin in human odontoclasts regulates root resorption activity via protein kinase A」というタイトルでJournal of Bone and Mineral Metabolism(2004)22:12-18に掲載されている。 平成15年度は、ヒト破歯細胞の歯根吸収機能を直接調節している因子について検討を行った。現在、歯牙交換期における生理的乳歯根吸収は破歯細胞によるといわれているが、その分化や機能調節については不明である。一方、骨リモデリングにおいては、receptor activator of NF-κB(RANKL)とosteoprotegerin(OPG)の発現バランスが破骨細胞の誘導や骨吸収活性を調節することが知られている。そこで、今回、乳歯の生理的歯根吸収におけるRANKLやOPGの関与について検討した。福岡歯科大学小児歯科にて治療上抜去された歯牙を供与してもらい、生理的歯根吸収期のヒト乳歯から破歯細胞及びperiodontal ligament(PDL)細胞を、非吸収期の乳歯や永久歯からPDL細胞を単離した。RANKLとその受容体であるRANKおよびOPGの破歯細胞とPDL細胞における発現を免疫染色法やRT-PCR法により検討した。また、actin ring形成能と吸収窩面積の測定により、RANKLおよびOPG投与による破歯細胞の吸収活性への効果について検討した。その結果、(1)吸収期のPDL細胞には、RANKLの強い発現が認められたがOPGの発現は弱かった。一方、非吸収期のPDL細胞では、RANKLの発現はほとんど認められず、OPGの発現は強かった。(2)ヒト破歯細胞においてRANK及びRANKLの発現が確認できた。(3)RANKLは破歯細胞の吸収能を促進し、OPGはRANKLの作用を抑制した。以上の結果よりPDLにおけるRANKLとOPGの発現バランスの変化が、破歯細胞の分化・誘導や歯根吸収活性を制御し、乳歯の歯根吸収と後続永久歯の放出を調節するものと考えられた。 なお、一身上の事情でやむを得ず、平成15年7月で福岡歯科大学を退職し研究期間途中で打ち切りとしたが、テーマである乳歯の歯根吸収に関わるサイトカインや破歯細胞の吸収調節機構に関して、多くの知見を見いだすことができ論文としても掲載されたので、研究計画は十分遂行できたと考えられる。
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