研究概要 |
インプラント周囲炎の治療のためには,まず汚染されたインプラント表面の無菌化が必要である.そこでまず,培養した歯周病原性細菌をインプラントサンプル表面に付着させ,様々な方法で除菌化を試みた. 歯周病原性細菌として,Actinobacillus actinomycetemcomitans (A.a) Y4株を使用した.培養条件は,好気条件下で37.0℃で静置培養を行い,培養菌液を標準菌液として使用した.また,検体は,表面を被溶解性ブラスト材にハイドロキシアパタイト結晶顆粒によりマイクロピッチ状にし,酸処理により清潔にしたインプラントサンプルを使用した.細菌の付着条件は,標準培養液3m1中に検体となるインプラントサンプルを浸漬し,好気培養装置中で4時間,静置培養を行う.培養後,PBSに30秒浸漬する.実験群は,(1)コントロール群 (2)生理食塩水50ccでの洗浄群 (3)ハイクロソフト水で1分間洗浄後,50ccの生理食塩水で洗浄した群 (4)0.1%クロルヘキシジン溶液で1分間洗浄後,50ccの生理食塩水で洗浄した群 (5)35%正リン酸で30秒間エッチング処理後,50ccの生理食塩水で洗浄した群 (6)重曹粉によるエアフローを30秒間噴霧後,50ccの生理食塩水で洗浄した群の6つの実験群を設定した.評価は走査型電子顕微鏡を用い,単位面積あたりの細菌数により,各除菌方法の効果を比較検討することとした. 最も細菌除去効果が高かったのは,重曹粉によるエアフローであった.しかし,エアフローによる噴霧では,インプラント表面に重曹粉の残留と表面構造の形態変化が見られた.このことが周囲組織に及ぼす影響については,今後の検討課題である.さらに,他の処理群についても,細菌の付着の有無や里については確認できたものの,それぞれの殺菌効果については,今後の検討課題であると言える.本評価方法は,インプラント体の無毒化を評価する上で有用である.
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