研究概要 |
本研究では、電位依存性カリウムチャネル機能制御分子のうち、心筋、神経においてQT延長症候群、癲癇に関与する電位依存性カリウムチャネル、ERG1-3、KCNQ1-5の機能制御分子、KCNE1-5と早期不活性化カリウムチャネルKv4.3の機能制御分子KChIp-4の平滑筋機能における役割について検討した。 門脈は自動収縮を惹起する組織であり、その機能調節には心筋と向様にK^+チャネルが重要な役割を果たしている。本研究では、マウス門脈平滑筋に発現する新規KCNQ1スプライスバリアント、KCNQ1bをクローニングし、その電気生理学的特性について検討した(「研究発表」参照)。その結果、心筋ではKCNE1がKCNQ1aの機能調節しているのに対して、門脈平滑筋ではKCNE3がKCNQ1bの機能調節を行っていることを見出した(「研究発表」参照)。心筋KCNQ1、KCNE1においてloss of functionを伴なう遺伝的変異が報告されている。本研究において、KCNQチャネルの特異的阻害薬、linopirdineにより門脈平滑筋における活動電位幅が顕著に延長したことから、門脈血行異常症にもKCNQ1bやKCNE3の遺伝的変異が関与する可能性がある。 本研究課題において、消化管平滑筋においてKChIPサブタイプのうち、KChIP1,KChIP3が発現することを前年度報告した。本研究では、Kv4.3のC末端細胞内領域にアミノ酸点変異体を導入することにより、Kv4チャネルの電位依存性に寄与する正電荷アミノ酸を見出し、KChIPはN末端と相互作用するだけでなく(An F. et al.,Nature,2002)、C末端とも機能的に相互作用することを見出した(「研究発表」参照)。最近、国際共同研究によりL(米国カリフォルニア大学サンディエゴ校、Wayne Giles教授)、KChIP欠損マウスを用いて平滑筋機能異常に関する研究を開始した。
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